人生は20代で決まるという本を読みました. ちなみに, 古い方らしいので新しい方はこちららしい.
book of で200円で売ってました. 安い…
メグ・ジェイ博士
アメリカの心理学者で, 20代の若者の心理が専門. カルフォルニア大学バークレー校で臨床心理学とジェンダー学の博士号を取得.
色々省略したけど, 博士号を取得したすごい先生.
著者が20代のカウンセリングをした実体験を通して悩みを解決していく. 仕事, 恋愛, 脳と肉体という3部からなる.
目次
第1部 仕 事
第2部 恋 愛
第3部 脳と肉体
エピローグ これからうまく行くでしょうか?
アイアンは、自分の20代は大海の真ん中にいるような状態だと言いました。
3章は, 生きる方法がわからない20代のアイアンの苦悩を描いています. 20代からは自由に選択をすることが可能になりますが, やりたいことがない, 見つからないアイアンはそれに圧倒されてました.
「もし一つの方角を決めて泳ぎだすとしても, どの方角がいいかがわからない。だから決められれない。もし間違っていたらエネルギーを使い果たしてしまうし。」
先の見えない生活について両親に相談すると、またもや嘘を耳にします。母親と父親はこう言ったのです。「お前は最高だ! だから何でもできる。可能性は無限だ!」 お前がやりたいと思えば何でもやれると太鼓判を押しました.<中略>
アイアンは母親の言葉があまりに漠然としてなんの意味もなく、目をくらまされているように感じていました。
「嘘を耳にします」と書いてあるとおり, アイアンは嘘だとわかっていました. そして助かる方法もわかっていました. 「1つの方角を決めて泳ぐこと」です. しかし, 方角を決めて泳いでサメに襲われる可能性もある. つまり, 自分の生き方を決めて悪いことが起こるなら, それは泳がないで待っている方が良いのではと思うことです. だから, 答えがわかっていないふりをする. ですが, それでは徐々に自分の体が冷えて本当に身動きが取れなくなるでしょう.
ここで, アイアンにメグジェイ博士は興味深い実験を教えています. スタンフォード大学のジャムの実験というものです. 24種類のジャムと6種類のジャムを置いたテーブルを作り, 試食品を前において売りました. その結果, 24種類のジャムの前に集まった客は多かったのですが, ジャムを購入した客は集まった人数の3%で, 6種類のジャムを買った客は集まった人数の30%でした.
「あなたたちは無限の選択肢があると耳にするかもしれない。でも、なんでもできるとかどこにでも行けるというのは、あなたが言ったように海の中にいるのと同じなの。二四種類のジャムのテーブルの前に立っているというのもね。二四の本当に実行可能な選択肢を持った二〇代に、私はまだ出会ったことがない。現実は、せいぜい六つの選択肢から選ぶものなの。」
最低でも私たちは20年も生きてきました. どれでも選べると錯覚し, どれも選ばない選択をするよりは, この20年で培った自分を見て, そして選択していくことが大事だと語りました.
以上がこの章の大事なところだと思います. 20代のうちはまごまごしているより自分のためになる, もしくはやりたい行動を多くしていこう. そういう話でした.
これで終わってもいいのですが, このあとの会話がおもしろかったので, 引用しておきます.
「なんだか宝くじの質問に似ているな。」 アイアンは言いました。
「宝くじの質問って?」
「つまり」アイアンは続けました。 「もし宝くじに当たったら何をするかと自分に聞くことさ。そうしたら、人は自分が本当に何をしたいかわかるんだ」
「それは正しい質問じゃないわ」。私は反論しました。「そもそも現実的じゃないわ。もし才能やお金が問題じゃなかったら何をしたいか、と聞くのと同じでしょ。でも、実際には才能やお金は問題なの。二〇代が自分自身に問わなければならないのは、もし宝くじに当たらなかったら何をするかということよ<中略>」
3年の同棲生活のあと結婚したジェニファーは, 結婚の半年後にはすでに離婚の弁護士を探していました. ジェニファーは「3年も同棲したのに何故こうなったのかしら」と後悔していました.
信用できる調査によると、20代のほぼ半数が「うまくやっていけるかどうかを見極めるために、まず同居してくれる人としか結婚を考えない」という意見に賛成しています。約三分の二が結婚前の同居は、離婚を回避する賢い方法だと信じています。
そう考え同居したカップルの多くは次のような結果になりました.
「まず同居」のカップルは結婚生活の満足度が非同居派よりも低く、離婚率は高いのです。これは社会学者の言う同棲の逆効果でしょう。
この逆効果には研究者も当惑したそうです. しかも, それは個々人の問題(心情や特質)を考えても十分に説明できなかったそうです.
同棲の逆効果はどう説明できるのでしょうか。「買う前に試着する」やり方がなぜ幸せな関係を保証しないのでしょうか?
最新の研究では同棲のデメリット, その原因までわかってきたそうです.
ほとんどのカップルは「気がつくと、同居していた」と言います。ジェニファーはこう言いました。「簡単で都合が良かったからよ。<中略> もっといっしょにいたかったし、経済的で好都合だったから。同居はすばやく決断できて、うまくいかなかったらすばやく解消できるわ。」 <中略> 彼らのように同居したい理由や、その意味を話し合わないままでいるカップルがほとんどでしょう。
研究者が、二〇代の人に同棲にいたった本当の理由をたずねると、女性はたいてい愛を持ち出し、男性はお手軽なセックス、と答えます。パートナー同士の意見が、潜在意識でさえも食い違っていることに、同棲の問題点があるようです。加えて、男性も女性も、同居している相手に求める基準は、結婚相手に求める基準よりも低いと認めているのです。
ジェニファーの場合も, 相手が不安定な職業でも一緒にいるのが楽しければ良かったそうです.
「結婚じゃなかったから、同居をじっくり考えなかったの」
そしてある時, ジェニファーは結婚を真剣に考え始めました. しかし, 相手は真剣に考えず, 喧嘩も多くなった.
意思を確かめ合う前に同居するカップルは、コミュニケーション不足におちいりやすく、互いへの関わり方も浅い傾向にあるようです。<中略> こうしたカップルは、結婚の前でもあとでも、思いやりにかけることが、様々な研究分野で確認されています。これはとくに男性に顕著に見られました。
結婚をすればなんとかなると思った彼女は, その後彼をつついて結婚しました. 別れるという選択肢はなかったのでしょうか. 実際に彼女は
うまくいかなかったらすばやく解消できるわ。
と言っていました. しかし,
「実際は、まるで流砂みたいだった」
と語りました.
ズルズルと同棲に入ることは、もし簡単にやめられるのなら、問題にはならないでしょう。そうではないから問題なのです。
同棲には段取り費用と切り替え費用が知らないうちにかかっています.
段取り費用は, 簡単に言ってしまえば相手に掛けたコスト(時間, お金, ものなど)です. そして, 切り替え費用は他の相手に乗り換える時のコストです.
カップルは素敵なワンベッドルームの家賃を、楽しく折半します。Wi-Fiやペットをシェアし、新しい家具の買い物も楽しいでしょう。後で別れる際に、この段取り費用は問題になるのですが。
また, 切り替え費用についてジェニファー自身は時間を問題に語っていました.
「私の年齢が、すべての切り替え費用に影響したと思う。同居するとき、私はまだ二〇代で、望めばいつでも解消できると思った。でも三〇を超えたら、すべてが違って見えたの。」
同棲しなかったら数ヶ月しか続かなかったのに, 段取り費用と切り替え費用が重なり, 時間を掛けることで更にコストが増えていき, 結婚に至る選択をしたのです.
以上が本章の内容でした. さて, 同棲の問題点をまとめると, 以下のようになります.
同棲の逆効果を防ぐ方法は簡単で, 「お互いに結婚を前提とした同棲」と知っていれば良いだけです. そのため, 日本ではあまり気にしなくて良い話かもしれませんし, 本章の最後でも, 最近は同居を真面目に考える人が多くなっていると書かれてあります.
また, あえて同居をしないという手もあります.
しかし, 買う前に試着する方法がこのようなデメリットを引き起こすとは…
晩婚化の影響で, 第一子を生む年齢が増加し, 30代から産む人も多くなっているそうです. しかし, 子供を望む人, 特に20代は, 妊娠率のことを知っておいたほうがいいと語っています.
生殖医療は不確実性の科学であり、すべての三五歳未満の女性が簡単に子供を持てるというわけでもなければ、逆に三五歳以上の女性が全て子供を持てないというわけでもありません。しかし、年齢によっていくつかのことが変化します。これは、子供を望む全ての人が知っておいたほうがいいことです。
変化の多くは、女性の妊娠率に関するもので、科学者の間ではよく知られている事実です。しかし、生物時計は女性のみならず、男性にも存在します。老いた精子が、子供の様々な神経認知の問題を引き起こすことがわかってきました。自閉症、統合失調症、難読症、知能の低下などです。
まぁここからは男性の話はあまり出ず, 女性のデータの話が多いです.
女性の妊娠、あるいは妊娠能力は二〇代後半にピークを迎えます。女性にとって二十代は赤ちゃんを生むのにたやすい時期なのです。三〇歳ぐらいから三五歳ぐらいにかけて生殖能力が落ち始め、四〇歳になると急激に低下します。
理由は2つあります.
これらによって
が引き起こされます.
三〇歳になると妊娠率は二〇代の半分に、三五歳で四分の一に、四〇歳で八分の一になります。
これは2007年のアメリカで生まれた赤ちゃんを例に取って次のようになりました
また, 排卵期に子作りをすると
という結果になります. しかも, この統計は「妊娠率」だけを見たときです. 流産率は
という統計もあるらしいです.
もちろんデータにいろいろ突っ込みがある(現に私もいろいろ聞きたいことが…)と思いますが, 要は「自然に」妊娠し, 子供を作る場合, 年齢がいかに重要になってくるのがわかると思います.
問題はまだあります. 不妊治療費です. 年をとるに連れて, 不妊治療費は上がっていきます.
本書によると35歳までは約350万円だったのが, 40歳以降では約1000万円にもなるそうです.
しかも, 不妊治療の失敗は成功するケースよりも多いです. 年齢による失敗率の増加も相まって, 子供を諦めるケースが多いらしいです.
そして最後に問題になってくるのが, 3世代の年齢差です. 高齢出産した夫婦の子供がさらに高齢出産をした場合, とても大変であることは容易にわかります.
例として, 40歳で子供を産み, その後, その子供がまた40歳で子供を産んだとします. この場合, 80歳の両親と赤ちゃんという, 自立が難しい2つの世代を世話する場合が出てくるでしょう. そしてそれに挟まれた世代は働き盛りの時期であり, 体力も昔に比べればなくなってきます. その世代にすべてのリスクが押しかかってくるのです.
以上が, この本が示した出産の大変さを描いたものでした. もちろん本書が書かれたのはだいぶ古いので, もしかしたら不妊治療の成功率は飛躍的に伸びているかもしれません. 例も極端すぎてありえないと思うかもしれません. しかし, これらのコスト, リスクを考えるとやはり自然な形で生む方が一番最善であるというのが, 私がこの本を読んで思った結論でした.
この章の最後に, ビリーという父親の独白があります. 事故にあった際に気づいたことを話しています. 20代のときに重要だと思っていたことが実は重要じゃなかったこと, 無駄な時間を過ごしてきたこと, その時間を未来のために回しておけばよかったという後悔の現れた独白でした. 一読することをおすすめします.
という感じで, 面白いと思った章をまとめてみました. いかがだったでしょうか. 私がこの本で一番驚いたのは妊娠率の話でした.
小難しい話が一切ないので, 意外とスラスラ読めました. 省略した部分が多くなったので, 面白そうと思ったら是非本書を読んでみるといいと思います.